先日も書きましたが、
新型コロナウイルス流行から2ヶ月となり、ストレスによる「コロナ虐待」「コロナ離婚」「コロナDV」「コロナうつ」…
それ以外にも毎日のようにネガティブな情報が流れてきます。
そんな中で
「仕事がなくなった…」
「子供はずっと家にいるし、言うことも聞かない…」
など
不安や憤りで、
『どうせ~したってできない』
『◯◯やったって仕方がない』
つい、そんな《あきらめのワード》を口にしていないでしょうか…
学習するほど、あきらめる!? 「学習性無力感」
皆さんは「学習性無力感」って言葉をご存知ですか?
実は、人はあることを学習し続けることで、
挑戦どころか、苦痛を回避する行動や努力でさえ、行わなくなってしまうことが分かっています。
先日の投稿で、ご紹介した「エレファントシンドローム」の基になった理論で、
ポジティブ心理学の創始者マーティン・セリグマンらによって提唱された心理的現象です。
参考記事:子供の限界を決めてしまう大人たちの言葉
今回は「指導者」や「教育者」には必須の知識であり、
子育てに於いても
「知っているか、いないか」だけで
大きな差となる可能性が高い知識となります。
世界的にも認められ、
これまで数多くの研究に影響を与えた非常に大切な心理現象です。
そしてそれは
今の日本人にとっても、大切なことを気付かせてくれる
非常に有益な知識だと思います 。
今回はその提唱のキッカケとなった実験内容と結果
そして、そこから得られる大きな学びをご紹介させて頂きます。
いつもお読み下さりありがとうございます。
【夢は日本中の子供たちの未来を明るく幸せにする空手家なる❗️】
纐纈卓真(こうけつ たくま)です。
「子育てが楽しくなる情報」「現場で活きた指導法」などなど
心理学や脳科学を勉強しながら、実体験を通して学んだ、子育て子供教育の良識を発信するために活動しております。
立証した「実験と結果」
「学習性無力感」の提唱に至ることになった、非常に興味深い実験内容と結果
そして、そこから分かったとても大切な考察をご紹介します。
※ 1967年より様々な実験が行われており、参考にする書籍によって多少、実験の方法が異なります。
犬をケージに入れ、不規則に5秒間の電流をケージ内の床に流す。
2日間の実験中、犬は2つのグループに分けられ、初日は、それぞれの条件で実施された。
グループA:ケージ内にパネルがあり、鼻先でパネルを押すと電流が止まる
グループB:電流を止めるパネルがない
初日結果:
グループAの犬は、パネルを押すことで電気ショックを止められることを学習し、電流が流れると、すぐにパネルを押すようになった。
グループBの犬は、最初は暴れて逃れようとしたが、電気ショックから逃げられないことを悟ると、電流がおさまるまで身体を丸め、ジッと耐えるようになった。
シャトルボックスという真ん中に犬が飛び越えられる程度の壁があるケージに入れ、
音を発生させた後、犬の居る側のボックスにのみ電流を流す。
2日目結果:
グループAは、音を聞いた瞬間に壁を飛び越え、隣の部屋に移動する様になった。
グループBは、音を聞いた瞬間、 なにも行動を起こさず、クンクンと鳴きながら床に横たわり電気ショックが終わるのを待った。
「学習性無力感」 とは
グループAの犬は「すぐに隣の部屋に移動する」という行動を取れたにも関わらず、
グループBの犬は、簡単に飛び越えられる壁でさえ越えようともせず、耐えるだけでした。
これはグループAの犬は、前日に「電気ショックはコントロールできる可能性がある」と経験していたのに対して
グループBの犬は「自分はこの苦痛からは逃れられない」と、前日に学習し、回避行動の模索をやめてしまったためです。
このように「回避困難なストレス環境」に置かれた人や動物が
『何をやっても無駄だ』という経験や情報を繰り返し学習し、
『自分は無力なんだ』と思い込んでしまうことで、
解決する方法が目の前にあったとしても、あきらめて行動や努力をしなくなる現象を
「学習性無力感」
といいます。
その後の研究で「食欲減退、睡眠障害、注意力や身体活動の低下」といった、うつ症状をもたらすことも発見され、うつ病の無気力モデルも形成しています。
「コロナに負けない!」今、日本人に大切なこと
この実験によって、
たとえ同じ条件であっても、諦めを学習することで
解決する方法があっても、行動や努力ができなくなる心理現象があること
が分かりました。
しかし
この実験で分かる、最も大切なことは…
「あきらめ」や「無力感」とは
苦痛がもたらすのではなく
『苦痛に対して何もすることができない…』
そう思い込むことによって引き起こされる
と発見されたことです!
つまり逆を言えば
どんなに苦しい状況においても
自分にもできる事は絶対にある!
そう思うことが、何よりも「あきらめや無力感」に飲み込まれず
解決法を探し続けるには、大切だということなんです。
まとめ
「あきらめない為に必要な意識」を、なるべくシンプルにまとめました。
あきらめない為に必要な要点は、たった2つです。
『~になったらどうしよう』など、まだ起こっていない未来の不安や、行政の決定やウイルスの蔓延など、今の自分ではどうする事もできない事に注目する回数を、できる限り減らす。
2.『どんな状況でも自分が選択し、変えられることはある』と思う回数を増やす
今できることに注目し、感染予防や自己研鑽など『今の状況でもコレは自分にもできる』『将来のためにコレをやっておくと良いかもしれない』といった、いま自分にできる最善のことを探し、実際にやっていく。
もしよろしければ、皆さんもぜひ意識してみて下さい。
個人的な見解
現在、日本全国で大変苦しい状況が続いています。
世の中を見渡すと
《これから先の不安》と《どうすることもできない現状の苦悩》
に押し潰されたストレスから
「そんな事しても無駄だ…」
「こんな状況ではできない…」
「もうやっていけない…」
そんな批判的な意見や、悲観的な発信も多く
どうしても、それらネガティブ情報に注目してしまいがちです。
しかし、そんな批判的な意見や、挑戦をあきらめた大人たちの姿を見せることが
子供たちに良い環境だとは絶対に思えないんです。
コロナ禍の今、子供たちのために僕らにできること
生まれつき「悲観的で無気力」な人間なんて、一人もいません。
誰もが、幼児の時に上手く歩けず、毎日のように転んで泣く日々を経験しながらも
あきらめず、立ち上がり続けたから、歩けるようになったんです。
本当はみんな、何度失敗しても、挑戦し続ける【あきらめない力】がある!
子供たちは、そんな大切なことを教えてくれます。
そんな子供たちを前にして
僕ら大人たちが、転んだくらいで諦めて良いのでしょうか?
たとえ大怪我だったとしても、まだ生きているのに
あきらめを口にして良いのでしょうか?
『何をやっても意味がない…』
『どうせムダだ…』
そんな悲観的、批判的な大人たちの姿を見せてしまうことは
子供たちに「あきらめを学習させる環境」を与えることになり得るんです。
いま、日本は本当に大変な状況です…
僕も痛感させられています。
でも現状を嘆いて、悲観しても現実は何も変わりません。
それならば、僕ら大人たちが、子供たちの前で
「こんな状況だけど、私たちは今やれることを一生懸命頑張るから大丈夫だ!」
「大変な状況だけど、今はあなた達と一緒に居られる時間にしかできないことを大切にしたい!」
そんな頼もしい背中を見せ、
子供たちに
『どんな状況になっても、僕だってできる!』
『どんな状況でも考えれば、やれることって沢山あるんだ!』
そう感じてもらえる機会にしていきませんか?
もし今回の投稿が、皆さんにそんな意識を持って頂くキッカケになれば幸いです。
お知らせ
この度「コラボなみらい」様より、ZOOMを使ったオンライン子育てセミナーの依頼を受け
《児童養護施設支援チャリティー企画》として開催させて頂くこととなりました。
今回のセミナーは
「子供が家にいて大変!?」
コミュニケーションを学んでストレスを激減させよう!
自粛によって毎日、家の中で過ごす子供たち、そして仕事に出られない大人たち。
そんな環境で
「どうしてもイライラしてしまう」
「もう子供がいるのがイヤ!」
「夫がいるのもイヤ!」
なんて話もよく聞きます。
でもそれは、あなたが悪いのではなく
ただ「対処法やコミュニケーション術を知らないだけ」なんです。
今回それを知って頂くことで、日々のストレスから解放され、
家族が仲良く過ごすキッカケになれば幸いです。
今回の企画の詳細
開催日:令和2年4月26日(日)終了
テーマ: 「子供が家にいて大変!?」コミュニケーションを学んでストレスを激減させよう!
主催団体:「コラボなみらい」
寄付先団体:NPO法人「ちゃいラボ」
マーティン・セリグマンの言葉
※僕がアドラー心理学に傾倒した最初の理由でもある、精神病患者だけでなく「幸せな人がより幸せになるために心理学ができること」についてマーティンが語っています。興味のある方はご覧ください。
もし共感して頂けた方は、シェアにご協力頂ければ幸いです✨
いつも励みになります。
より多くの子供たちの未来の為に良い情報を多くの方に届けたい!
皆さんのお力を少しだけ貸してくださいm(__)m
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今回の実験内容の引用元:
「心理学のすべてがわかる本」発行所:学研プラス
「やり抜く力 GRIT(グリット)」著:アンジェラ・ダックワース
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